
羽深: 私の感覚では、政府が災害を意識する節目となったのはやはり阪神・淡路大震災。それまでの災害対応は公共施設やインフラの修復が主でしたが、ここで個人の生活再建を支援する必要性が認識され、自衛隊の迅速な出動体制も作られました。この経験は東日本大震災時にも活かされ、個人財産の補償とともに官民一体での復興支援体制が確立されました。これらの対策は、2017年の防災グローバル・プラットフォーム会合で国際的に高く評価されました。
2016年の熊本地震では更に災害対策が進化し、「プッシュ型」の対応が採用されました。これは国が積極的に被災地へ対策を提案・実行する手法で、現地に対策本部を設け、迅速な指示と対応が可能になりました。さらに、住民と自治体に対するアンケートを通じて、現地のニーズを正確に把握しました。そのときに一番多かったのが「水」です。食べ物や日用品は全国から届くし、避難所にもありますが、断水し復旧の遅い地域では、「お風呂に入りたい」と生活用水に非常に困っておられました。2017年にMCGに入社し、社内で防災に取り組むプロジェクトが動いており、地下水を飲料化するシステムや耐震性や衛生性の高い貯水槽の存在を知り、「これだ」と思いました。